【投薬できる?】カウフマン療法

仕事

カウフマン療法

こんにちは!

薬局薬剤師のごみちです。

先日婦人科領域で、「この処方ってたまに出るけど、なんで飲むことになるんだ?」と思った処方があったので色々調べてまとめてみました!

今回調べた処方

今回調べた処方

プレマリン 2錠 朝夕食後 10日分
プラノバール 1錠 朝食後 11日分

ごみち
ごみち

「この処方、どうやって飲むの?」「なんで2つもホルモン製剤が出てるの?」と思った方!
ぜひ一緒に私と勉強してみましょう!

良かったらぜひ最後まで読んでいってください!

目次

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女性のホルモン周期について

まず、処方を知るために女性ホルモンの周期について復習します!

女性ホルンモン周期
ごみち
ごみち

この図、女性ホルモンについて私はとても苦手でした。。。

薬剤師の方は、学生時代にこの図と女性ホルモンについて沢山勉強したと思います。

私も沢山見てましたが、女性ホルモンのあたりはすごく苦手でいつも頭を悩ませていました。
なので、今回の処方を調べたときに同時に女性のホルモン周期についても再度勉強しなおしました。

(※図には載ってないですが、卵胞刺激ホルモン(FSH)も大切なホルモンです!)

分泌される女性ホルモンのそれぞれの役割

それぞれのホルモンの役割も、全部改めて調べてみました!

女性のホルモン周期は色々流れがあるので、覚えるのが大変ですよね。

ごみち
ごみち

何度調べても混乱するときがあります

分泌される女性ホルモンのそれぞれの役割

中枢性ホルモン:下垂体から放出

  • 卵胞刺激ホルモン(FSH)
  • 黄体刺激ホルモン(LH)

卵巣性ホルモン:E2は卵胞から、Pは黄体から放出

  • 卵胞ホルモン(エストロゲン:E2)
  • 黄体ホルモン(プロゲステロン:P)

※卵胞刺激ホルモンが放出されるために、視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)が放出されます!

無月経について

無月経についてですが、女性ホルモンがうまく分泌されないと月経が止まってしまうことがあります。

3カ月以上に渡る無月経を続発性無月経、その中でもエストロゲンが正常・プロゲステロンが不足しているものを第一度無月経、エストロゲン分泌が不足しているものを第二度無月経と分類しています。

ごみち
ごみち

実際はもっと細かく分類されてます!

気になる方は、日本産婦人科学会の出しているガイドラインをぜひ参考にしてみて下さい

無月経の原因は様々ですが、視床下部に原因がある場合は無理な体重減少やストレス、生活習慣の乱れ、過剰な運動などが挙げられます。

無月経は原因にも左右されますが、排卵障害など併発することもあり不妊の原因にもなります。

今回の処方は?

今回の処方についてですが、Kaufmann療法という処方になります。

「Kaufmann療法って何!?」となる方が大多数だと思うので、

  • 薬の有効成分を調べる
  • Kaufmann療法について
  • どのよう内服するのか

の順で解説していきたいと思います

薬の有効成分

今回の処方ですが、プレマリン錠が結合型エストロゲン製剤、プラノバール配合錠がノルゲストレル・エチニルエストラジオールの混合ホルモン剤になります。

プレマリン錠とプラノバール錠の有効成分

成分を見ると、卵胞ホルモンのみの薬と卵胞ホルモン+黄体ホルモンの配合剤が処方されていることが分かります。

この処方は、『Kaufmann(カウフマン)療法』と呼ばれる『卵胞ホルモンと黄体ホルモンの補充療法』で、第二度無月経に対して処方されるものになります。

Kaufmann療法

Kaufmann(カウフマン)療法は、1932年にドイツのCarl Kaufmannが排卵障害の女性に月経を誘発する方法として報告したものになります。

初期は1ー15日目にエストラジオール、19ー23日目にプロゲステロンを投与する方法でした。

その後、1958年にBoschannが改良し、周期の後半にエストロゲンとプロゲスチンの双方を利用する投与方法になりました。

日本では、周期的エストロゲン・プロゲスチン投与の事をKaufmann療法と呼称しています。

国内の投与方法は、10-11日間エストロゲン製剤単独、その後10-11日間エストロゲン+プロゲステロン配合製剤(主に中用量ピル)を用いることが多いようです。(ホルモン製剤内服終了後は休薬期間があり、消退出血(≠月経)が起こります)

ごみち
ごみち

エストロゲン製剤としてはプレマリン錠、中用量ピルはプラノバールまたはソフィアAが利用されるようです

このKaufmann療法ですが、無月経の程度によりますが2~3周期繰り返すことで視床下部ー下垂体‐卵巣系ホルモン動態の正常化が期待できるとも言われています。(10~15%程度、とも言われているようですが)

どのようにして内服するのか

先ほど挙げましたが、内服方法は『卵胞ホルモン→卵胞ホルモン+黄体ホルモン→休薬』の順になります。

なので、今回処方の場合は『プレマリン錠を10日間内服後、プラノバール錠を11日間内服、その後1週間休薬』が1サイクルになります。

ごみち
ごみち

長期投与になると、プレマリン30日分・プラノバール配合錠33日分のような形で処方が出ることがあるので投薬時に3サイクル分であることを患者と確認してみても良いと思います!

まとめ

女性ホルモン製剤2種類投与の投薬、できそうでしょうか。

ポイント
  • 内服順が決まっている(卵胞ホルモン→卵胞+黄体ホルモン)
  • 同時に飲まない
  • 不妊治療目的での処方もあり得る(2~3サイクルでホルモン分泌の正常化が期待できる)

最初はこの3点を抑えておけば問題ないと思われます!

ホルモン製剤の投薬は配慮することが多いと思うので、大きな声で「不妊治療ですか?」等は言わないようにするなどして患者さんが嫌な思いをせずに薬の説明を聞いてもらえるようにできるといいですね!

ごみち
ごみち

初回であれば問診票に書いてある文字を指して、「こちらの治療になります」等でも良いと思います。

長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました!

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